崩壊
日記を読み返し、記憶を辿る事は時に過酷で残酷だ。
よし…ダイエット中だけど、コーラ飲んでポテチ食べて解放しよう・・・
こんにちは リ・ハビリスです。
手繰り寄せた蜘蛛の糸を掴みながら、
2022年5月2日、私は一縷の望みをかけて整形外科を受診した。
脳神経内科と同じスペースにある整形外科の待ち合いで、私は一人車椅子に座って待っている。
初めてここの脳神経内科を受診したのは、ちょうど2週間前だ。
あの日も車椅子に座ってここで順番を待っていた。
40分くらい経っただろうか、「どうぞ」と促され、整形の診察室に入る。
中ではスポーツマン風の男性医師が、私に目を向けること無く主治医からの申し送り書を読んでいる。
「よろしくお願いします」
出来る限りの『忖度』を込めて挨拶をした。
医師は書類に目を向けたまま「へぇ~、動かないんだ。じゃあ風呂も入れない?」
と訊ねてきた。
【風呂はなんとか入れます】
私の答えに被せるように
「そうだよね、書いてある。風呂も一人で入れるのに脚は動かないんだ、へぇ~」
「ある時は痛がり動かないけど、ある時はスッと動く…って書いてあるよ。へぇ~」
「なんでもコロナワクチンのせいにしたい医者、コロナの副作用とか言ってる医者の口を借りて言うなら、インフルでもなんでもワクチンなんかを接種した時に反応しちゃう事がまれにあって、高熱が出て炎症を起こして、菌やウイルスが入ることによって自分で自分の免疫を破壊して、こういう副反応とかが出る事がある。」
「今は炎症もして無いし。もうそんなに痛くないんだよね。書いておくから。はい、もういいですよ。」
なんだこれは!?
私に喋る隙を与えること無く診察は終わった。
その間ずっと車椅子に座ったままで、一度だけその場にちょっと立って、つま先を動かしただけ。
私の話しは?
この脚は?
こんなに痛いし動かないよ!
整形外科の診察って、こんなものなの!?
「ありがとうございました」を言う前に、助手の女性によって私の車椅子は、さっさと診察室の外に運ばれた。
病棟からのお迎えを待つ間、私の心臓はドキドキしていた。
何の言葉も見つからない。
このまま夫の待つ家に帰りたかった。
病棟に戻り、毎日私のお世話をしてくれている看護師さんや、介護スタッフの方達の顔を見たら、次から次へと涙が溢れた。拭いても拭いても止まらない。
カッコ悪いけどしょうがない。
久しぶりに泣いたな。
体だけでなく、私の心までも崩壊してしまった。