大人の歩行器
医者はなぜ「医者になろう!」と思ったんだろう・・・
こんにちは リ・ハビリスです
2022年4月29日 ワクチン接種から27日目
入院6日目
昨夜はほとんど眠れなかった。
真夜中なのか、早朝なのか、3時にこっそりカーテンを開けてみた。
私のベッドは窓際だった為、少し開けたカーテンの隙間から外を眺めていた。
そしてまた、今日も空が白みはじめる。
なんだかよくわからないけど・・・・・つらいな・・
6時を過ぎても今日はベッドから出られない。
鼻まで布団をかぶり、何度母親に起こされても起きない子供の様に、布団の中でジッとしていた。
世間はゴールデンウイークかぁ…
夫と私の予定は全て流れちゃったな…
●右股関節の痛み(力が入ったり、負荷がかかるとズキッと痛む)
●右脚の麻痺による歩行障害
●左こめかみのピリピリ感
●右肩~腕にかけての重く張っている感覚(筋肉痛のような)
●両腕と両腿の湿疹(痛みも痒みもない)
10:55 休日の当番医師による症状確認
初めて見る眼鏡の男性医師。
「ど~ですかぁ調子は?」とお調子よく声を掛ける医師。
『特に変わりません』シレーっと答える私。
「動かない~?」
『動きません』更に広がる温度差。
「もう検査終わったんだよね~」
『終わりました。原因不明と言われました』
「良かったじゃ~ん」
『!!!!!!』はぁぁ~っ?
「わからない方がいいよ~」
『良くないですよッ。わからないから治療ができないって言われましたけど!!』
かぶせる様に発した私の言葉にイラつきを見付けたのか、医師はそのまま次の患者のもとへ行ってしまった。
何故原因不明が良かったのか、その真意は今も不明だ。
入院時の決まりとして、私の場合、院内の売店に行く時や、検査に向かう時には車椅子を使わなければならない。
そして、入院している脳神経内科の病棟内では、気をつけながらの自力歩行が許されていた。
今日は何の予定も入って無い。
よし、売店まで行くとするか。
病棟を出発。左カーブを曲がった先の廊下、何故かいつも暗い。電気もついていない。
オバケが出たらどうすんだよ…とダッシュで通る。
今も思う。何故あそこだけ昼間もあんなに暗いのか。どうして電気をつけないのかな…。
もしかして…と、いろいろ怖い事を想像しちゃうじゃん。
売店に行く前に、一階正面玄関に寄ってみた。
いつもはめちゃめちゃ混んでいる総合受付も、今日は私一人だけだ!
長い通路を車椅子で思いっきり走り抜けてみた。
「ヒャッホ~イッ」
いつの間にかこの相棒にも愛着が湧いてきている。
『よし!名前でも付けてやるか!』
いやいや、そりゃイタすぎるからやめよう。
病棟に戻り、ベッドに腰掛けぼんやり外を眺めている。
街中にあるこの病院は、少し歩けばすぐに繁華街に行ける。
家族連れや若者が歩いている。街にもだいぶ人が戻ったな…。
右脚を引きずりながらランドリーに行く途中、介助スタッフの方に声を掛けられた。
「歩くの大変そうだね、転んだら危ないし、歩行器使う?持って来てあげるよ!」
ん?歩行器…
赤ちゃんが使うアレ?
何だかカッコ悪くないかな…。そう思った私はとっさに『いい、いい、大丈夫です』と断った。しかし彼女は「これがあった方がラクだよ!」とすぐに用意してくれた。
デカっ。赤ちゃんが使う可愛らしいのじゃ無く、それよりも数倍ドデカい、無機質な可愛く無い大人の歩行器だった。
仕方ない、持って来てもらった手前、ちょいと使ってみるか。
ウワオ!
めっちゃラク!
超~快適。スイスイ進む。これならトイレに行くのもランドリーに行くのも数秒だ。
そして何よりリハビリするのにとてもいい!
左脚重心にならず、姿勢を真っ直ぐ正して左右均等に力を入れられる。
そして、いままで80度外を向いていた右のつま先を、少しずつ内側に戻してゆっくり歩いてみる。
歩行器が支えてくれるおかげで、右脚に負荷をかけ過ぎないように歩く事ができる。
うわぁぁ~もっと早くから使えば良かった!
こうして大人の歩行器は、私の相棒2号になった。
そういえば・・・売店からの帰り道、朝の眼鏡とすれ違ったけど、あんなに至近距離だったのに、私と目も合わせずにソソッと避けるように行っちゃった。
医者もいろいろ…